鬼畜彼氏
「ねーまだー??」
助手席でキラキラと光るドレスを
着た女の子が喚く。
ゆんちゃんだ。
「花菱邸って行きにくいんだよ、
もうちょっとかかる。」
年齢的に絶対、無免許運転
であろう男の子が返事をした。
危ないなぁ…矢多である。
「だって、美里ちゃんが
待ってるんだよ?姫子先輩に
ドレス汚しちゃった事も
謝らなきゃだし…」
「へいへい。それ
さっきも聞ーた。」
矢多はいつも通りとでも
言う様に流す…のが気に入らないのか
ゆんちゃんはふくれた。
「なんで、来た時はヘリ
だったのに帰りは車なのー?
ヘリで送ってくれたら
いいじゃんか。」
「お前、しつこい。
しゃーねーだろ、向こうも
忙しいんだ。
だけど、お前がネックレスに
なってるSOS発信器押すの
なんてマジ珍しいからさ、
超焦ってたんだぜ?」
ふん、とゆんちゃんは
鼻で笑う。
「親父が…でしょ」
「…フッ、正解。」