鬼畜彼氏
いつもの日常…
天気も安定し出すこの季節。
いつもと少しだけ違う
日常が見られた。
「私はきっと、世界を
救う為に生まれたんだと思う!」
「学校はお前みたいな奴を
救う為にあるんだな。」
「せっ、先輩酷いっ!!
こんな可愛くて一途で、
優しくて、彼氏思いで…
えーと、えーと…」
あとはー…
「泣き真似とかいらねーから。
つか、一つもお前に当てはまら
ねーし。詰まるぐらいなら
言うんじゃねーよ」
「くっ、さすが先輩…
一つも取りこぼさずに
突っ込みやがった…完敗だわ。」
「お前の敗北の基準
わかんねーわ」
「ま、いつも勝ってるし
たまには負けてあげてもいーかな」
私ってばやっぱり
心広い!!
「は?誰がいつ
お前なんかに負けたって?」
「キャッ、先輩それって
負け犬の遠吠えって言うんですよ?
覚えといて下さい。」
「俺がお前に日本語云々で
覚えろなんて言われる日が
来ようとはな」
「あ。気づいちゃいましたか。
一般人にはまだ話したこと
無いんですが、実は私には
秘められた力がですね…」
「あ?何お前、今日いつもより
バカだぞ。熱でもあんじゃねーの?」
「ねー、おかしいよねー。
今日の美里ちゃん、ずっと
こんなんなんだー。」
「熱なんか無いですぅー!
2人揃って酷いなーもうっ、
…うおっと」
ガッと王子が
美里を受け止める。
「なに転けそうなってんの?
って、おま、あっつ!!」
「あ、やっぱりですか?
王子先輩。」
「私は熱くないですよ。
先輩が冷たいんです。
あ、気持ちいー」
王子の手をピタと自分の
頬につける美里、
その行動に王子は背筋に
寒気がしたようだ。
「きめぇ。やっぱ熱あんわ、
コイツ。」
「…み、みたいだね。」
↑美里の行動にゆんちゃん
ドン引き。
「熱なんてないからっ!
まぁ熱意はあるけど〜って、
ちょっ、なんでそんな哀れんだ目
をすんの、2人共!ねぇ、ちょっと!」
「バカは風邪引かねぇって言うが
風邪引いて余計バカになんのは
世界中でコイツだけだな。」
「あはっ、あはははっ
確かにー」
「そこっ、ゆんちゃん
笑いすぎっ!!」ビシッ
「あーめんどくせ。
保健室まで運んでくわ。
ッチ、コイツはご主人様にどんだけ
迷惑かけたら気がすむんだよ。
この代償はデケェからな?
あ?聞いてんのか、おい。」
「…痛いッス。だから、熱なんか
無いし保健室なんて
頼んでませんよ、私っ!
なんなら今ここでバク転でも…」
「黙れ。」
ビクッ
グイと王子は美里を抱き上げ、
スタスタと歩き出す。
色んな意味で注目の的ってやつだ。
「美里。」
「はい?」
「…寝とけ。」
「はーい」
そう言うが早いか、美里は
寝息を立てて眠ってしまった。
それが熱のせいなのか
王子の腕の中だからなのかは
定かじゃないが、
「…なんだかんだで
優しいんじゃん。」
と、それを見てゆんちゃんは
呟いた。
ーーーいつもより少し優しい
鬼畜な王子。
いつもよりおバカで素直な美里。
いつもよりちょっとだけ
シリアスっぽいゆんちゃん。
…いつもの非日常生活でした。
fin.