Kitty love
「せんぱい知ってました? チョコレートの半分はぁ、やさしさでできてるんですよ~」



や、それバファ〇ンだろ。頭痛とかに効くアレだろ。

心中でそうつっこんでいると、「だからそれを食べると元気になります!」といつもの満面の笑みでさらりと言われ、俺は思わず言葉につまってしまった。


……だってそれじゃ、俺が今あまり元気じゃないってことを、ただ遠目に姿を見られただけなのにこの天然馬鹿に気づかれたってことで。



「すごいね真白ちゃん。こいつ強がりだから、具合悪いときとかもあんま顔に出さないようにすんのに」

「えへー、あたし視力は両目とも裸眼で2.0なんですよ!」

「いや、それ今関係なくない?」



こいつ、普段は気の抜けた顔でヘラヘラ笑っててこういうズレたことばっか言ってるくせに。

何これ、不意打ちすぎだろ。


手のひらの一口チョコを見つめたまま固まっていた俺を、横山と話していた天然女が思い出したようにくるりと振り返った。
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