Kitty love
「……チョコ?」

「前言ってたじゃん。チョコレートの半分は、やさしさでできてるんだろ?」



俺が口端を上げてそう言うと、そいつはまたうれしそうに笑って「はいっ!」とこたえた。

いつのまにかブリックのミルクティーを買っていたらしい横山に倣って、俺は同じ自販機にある抹茶オレのボタンを押す。



「じゃあな、ふらふらしすぎてコケんなよー」

「大丈夫です! せんぱいから半分のやさしさをもらったので!」

「ふ、ばーか」



軽く天然女の頭を小突き、そのまま歩きだす。

じゃあね、と横山も去り際に声をかけて、同じように俺の後についた。



「めっずらしーよね、高原がポケットに甘いもの入れてるのとか」

「そーか?」

「そもそも普段チョコなんて買わないくせにー。前に真白ちゃんからもらってからでしょ? たまに買うようになったの」



どこかからかうような口調が入り混じっていることに気がついて、俺は訝しむように斜め後ろにいた横山を振り返る。

しかしその場で、横山は何も言わず。代わりに教室に着いてから、横山は先ほどの俺の視線に答えるように、また口を開いた。
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