Kitty love
「せんぱい……?」



いつもと違う俺の様子に何かを感じとったのか、後ろからどことなく不安げな声がかけられた。

しかし俺はそれに返事をせず、代わりに天然女の手を握る力を強くする。

その繋がった箇所を見ながら、ジャージ男は口端を上げた。



「おー強引だねー。見かけによらず行動は男前」

「るせーよ。つーかてめぇ、コイツにさわってんじゃねー」

「何、それって、さっきの頭撫でたこと?」



俺の無言を肯定と受けとったのか、そいつは鼻で笑ってからさらに嫌味な笑みを浮かべる。



「今さら言われたって、あんなん教室でもいつもやってるよ。ねぇ、真白」

「え、う、うん?」



おどおどしながらも、否定せずに頷いた天然女。

俺はまた、確実に自分の機嫌が悪くなるのを感じていた。

そんな俺を見、目の前のジャージ男は相変わらずおもしろそうに笑う。
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