Kitty love
「ていうかそもそも、何の権限があってそういうこと言うわけ? あんた、このコの彼氏でもなんでもないんだろ?」

「け、慧くっ、」



ジャージ男のせりふに、後ろで控える天然女があわてたように声をあげた。

俺はそんな天然女をちらりと一瞥し、それからまた、握った手に力を込める。


……たしかに、俺は、コイツの彼氏じゃない。──けど、



「……うっせぇな、コイツは俺のなんだよ!!」

「ふぇっ、た、高原せんぱいっ?!」



今度は驚いた様子で、俺の名前を呼んだ天然女。

ぽかんと口も開きっぱなしで、強く自分の手を握る俺を見つめている。


あーくそ、んな驚かなくたって俺自身、こんな告白よりも恥ずかしいこと言っちまってる自分が信じられないっつの。

だけどコイツを、どうしても目の前の優男に渡したくないと思った。

そしたら身体と口が勝手に動いちまったんだから、仕方ねぇだろ。



「つーか、おまえもわかれよ! ここまでの態度で!」

「え、えええ~?!」



照れ隠しにキレ気味で言う俺に、天然女は殊更テンパる。

するとそこまで黙っていたジャージ男が……堪えきれないといったふうに、思いっきり吹き出した。
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