Kitty love
「あっはっはっはっ!! あ~やばいあたしアカデミー賞ものだわ~!!」



さっきまでの雰囲気は一変、腹を抱えて笑う目の前の人物。

しかし今の俺の状態はというと、……絶句。まさにその一言がぴったりだったと思う。


……だって今、こいつ、“あたし”って……。



「ははっ、その顔はやっぱり、あたしのこと完全に男だと思ってたんだ! まあ慣れてるからいいけどさ、あたしどんだけイケメンなんだっつの! あっはっはっは!」

「て、てめぇ……」

「おお、怒った?」



怒りやら何やらでわなわなと震えながら声を出すと、ジャージ男、もとい女はあっさりと笑いをおさめた。

けどその肩が、未だに笑い出しそうに震えているのを見逃さない。



「つーかおまえ、さっきまで自分のこと『オレ』って言ってただろ!」



だから最初、こいつがしゃべり始めたときに天然女が不思議そうな顔をしてたのか。

そしてその天然女はというと、俺の斜め後ろで目をぱちぱちと瞬かせながら、俺たちふたりのやりとりを見つめている。



「いやーだってさ、真白に懐かれて、ほだされない男がそうそういるわけないじゃん。だから、手っ取り早く気持ちを聞き出そうと思って」



まさかこんなにうまくいくとはねー、とジャージ女はまた笑う。
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