Kitty love
  ◇ ◇ ◇



「琉可せんぱいっ!」



教室のドアが開く音と同時に届くのは、自分の名前を呼ぶ元気な声。

ぱたぱたと駆け寄ってくるその姿を見ながら、俺はため息をつく。



「だから、んなでけぇ声出さなくても聞こえてるって言ってんだろ」

「えへへぇ、だって琉可せんぱいに会えてうれしいんだもん~」



にこにこと本当にうれしそうに笑う真白に、またため息。

すると同じ教室内のどこか近くから「今日も真白ちゃんかわいーなぁ」なんて声が聞こえてきて、俺は思わず眉を寄せた。

言われている本人には聞こえていなかったらしく、そしてそのうちいつもながら横から口をはさんでくる人物が、「つーかさあ、」と口を開く。



「真白ちゃん、いつから高原のこと名前で呼び始めたっけ? てかそもそも、よく高原も許したよなぁ」



あんなに呼ばれるのを嫌ってた名前なのに、と首をかしげた横山を一瞥し、しかしその疑問は綺麗にシカトする。

真白も真白で、一瞬ちらりと俺の顔をうかがってからご丁寧に口をつぐんだ。よし、いいコ。
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