Kitty love
「ただいま~」

「「おか~り~」」



授業が終わり、特に何をするでもなくいつもつるんでいる奴らと放課後の学校でだべって、家に帰ったのは午後5時過ぎ。

玄関で靴を脱ぎながら誰ともなしにそう言った俺を迎えたのは、寸分の狂いもなく重なっている、よく似たふたり分の声だった。

聞こえた声たちを俺は少し意外に思いながら、リビングへと向かう。



「あれ、兄貴たち今日はえーんだ」

「まぁな。多忙な俺たちだってたまには早く帰ってくるさ」

「そーそー。毎日毎日飲み会だなんだで疲れてるしな」



リビングのドアを開けて目に入ったのは、ソファーに座る予想通りの顔、かける2。

俺の双子の兄、4歳上で大学生の知也と和也だ。

ちなみに個々を呼ぶときは知兄・和兄、まとめてふたりを呼ぶときは兄貴たち、と俺は呼び分けしている。


知兄は片手に缶ジュースを持ったまま、にやにやと笑いながら座ったソファーから俺を見上げてきた。



「つーかおまえ、相変わらずかっわいー顔してんなぁ。もったいね~」

「……うっせぇ」



ぼそりと俺がそう返すと、今度は和兄の笑い声。



「ぎゃはは、そのくせ口は俺らに似て悪ぃし。なんだよそのギャップ~」

「………」
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