雨情物語③<花の色は>
花の色は 移りにけりな いたづらに
我が身よにふる 眺めせし間に
古文の授業で、小野小町の和歌を習った。
女は大変だな、見た目の美しさを気にかけて。若さを求めて。
――― あなたのために、美しくありたいのです
花の色は 移りにけりな、か。
斜めに降る雨を傘でなんとか防ぎながら、いつもの道を歩く。
すると、目に入ったのは…。
「早く枯れたの処分すればいいのにな」
「なんか、汚いよな」
いつも花を愛でたりしない者でも、時期の過ぎた枯れた花は目につくものだ。
枯れたツツジは、もう花ではないのか。
――― どうか、ご覧にならないでください
――― あなたに落胆されるのなら、咲かなければ良かった