大人の純愛宣言

1オバサンには興味ありません。

「俺、オバサンには興味ないんで…」

澤井リナ(30)
30歳と言っても、昨日誕生日を迎えてなったばかりのみそじ。

今職場の後輩にオバサンなんて、呼ばれているところだ。

「えーオバサンなんて言って失礼!澤井先輩に聞かれたら、殺されちゃいますよ!!アハハ」


その澤井先輩ってあたしのことよね…

休憩室から後輩たちの会話が聞こえてくる。
問題発言をした男、相沢悠介<アイザワユウスケ>は今年専門学校を卒業してきた理学療法士の男だ。歳など、知らんがどうせただのガキンチョだろう。
あちらがオバサンに興味がないっていうなら、こちらだってあんなガキに興味などないし。

休憩室に行くと、後輩が「あ・・・」と私の顔を見た。いっせいにみんながこちらを見て静まり返った。

「あら!なんで病棟の休憩室に相沢くんがいるのかな?」私は心の怒りを表面にださないように、笑顔で休憩室に入っていった。後輩たちは、すいませんと言いながら、それぞれの持ち場に戻っていった。
残された相沢だけは、どうってことないって顔でまだ椅子から立とうとしない。


「澤井さん、303号室の患者さんのことなんですけど…」そう言いながら、リハビリの進行予定や、目標について話をしてきた。私はオバサンと言われ、カチンときていたことも忘れてしまって、仕事の話に夢中になった。



そう、私は病棟のナースだ。
ここ花園病院で8年目。仕事は大好き、一生懸命やってきたのだから、この男がどんないやなやつでも仕事となれば関係ない。

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