大人の純愛宣言

4その気持ちは本物なのですか?

私は夢の中、いつかのことを思い出していた。その夢はぼんやりとしていたけれど…私のことを「リナちゃん」と呼ぶ子と一緒にリハビリ室にいた。。そう言えば、リハビリをサボろうとする悠君のリハビリを私は仕事が終わった後に、よく付き合った。そうか、あの時の悠君だったんだ。

ずいぶん大人になっていたから、分からなかった…それに苗字は?あの時、悠君は市川じゃなかった?

どうしよう、目が覚めたら…なんて言おうか。






目が覚めた時、そこに悠君がいた。大人になった悠君だった。

何だか恥ずかしくて、しばらく思い出していないふりをしようと思った。素直に言っちゃえば良かったのに、バカだなぁ、あたし。



3連休を言い渡されてしまったあたしを心配してくれた悠君。

一緒にマンションに行くと言い張る。送り狼になんかならないからと笑った彼を見て胸がぴょんと跳ねた。ドキドキしてしまった。彼は高校に入り、スグに入院しオペしたんだけどオペ後のリハビリをなかなか取り組まない子で、まだまだ新人だったあたしは必死に彼に付き合ったのだ。本来は頑張り屋さんだったのだろう、悠君は見る見るうちに快復し…退院したのだった。

退院する最後の夜、夜勤だった私との約束。
その責任をとれと言っていたのか、おかしくてかわいくて笑ってしまいそうだ。

結局うちに帰ると、悠君は冷蔵庫にビールしかはいっていない!と怒ってスーパーに行くことになった。その間に私に風呂に入っておけよと命令して出て行った。


ベランダから彼がスーパーに向かう姿を見ていると、何か思ったのか悠君は振り向いて大きく手を振った。私もおかしくって


「ばーーーか!」と笑って手を振ってしまった。


バカなんて言ったのに、ずいぶん嬉しそうに悠君はスーパーに入っていった。


私はお風呂に入って、彼の帰りを待つことにした。


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