近い君、遠い君。
「やっぱり…隼也くんとはるかちゃんだったんだね!」
園長先生が幼稚園の中へ入れてくれた。
「園長先生、変わってないですね!」
「私達はだいぶ変わったよね…」
「あら、そんなことないわよ!あなた達すごく成長してるじゃない」
……
「そういえば、二人はなんで此処に?だいぶ遠いでしょ?」
…あ、さっき隼也に聞こうとしたら
丁度園長先生が出てきたんだっけ。
「最後に一度だけ来ておきたくて。」
「えっ?」
隼也の言葉の意味が分からない。
「そうだったの…。悲しいわねぇ。この辺も子供が年々少なくなってきちゃって、廃園なんてねぇ。」
…そうだったんだ。
ここにはもう来れなくなるから…。
……
しばらくして、幼稚園を出た。
「園長先生、お元気で!」
「ありがとうございました!」
「またねぇー!」
園長先生は手をずっと振り続けてくれた。