政略結婚~天使に導かれて~
二人の時間
颯太は、結局その夜は、一睡も出来ず、いろんな思いを巡らせていた。

朝の回診で、颯太は高橋医師に

「先生、話がしたいんですが・・・」

「はい、どうしました・・・私に答えられることであれば、お答えしますよ」

「先生、私には、あとどれだけの時間が残っているんですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「昨夜、父たちが話しているのを聞いてしまったんです・・・
 自分では、気が狂いそうでしたが、私には妻もいるし、妻には
 今、子供もいる・・・。
 自分が、生きているうちに、彼女たちに何がしてあげられるのか
 考えたいんです。
 そのためにも、自分の事を知らないとならないんです・・」

颯太は、高橋医師にそう言いながらも、涙が出てきた・・・。

「島津さん、私はあくまでも医師として立場でしか言えませんが
 おそらく、半年くらいだと思われます。
 ただ、人間の命は、本人の気持ち次第で、科学的には証明できない
 不思議さを沢山持っています。
 だから島津さんの気持ち次第で、変わって来るとしか言いようが
 ありません。
 我々があと半年と判断しても、2年生きた方もいれば、3年生きた方も
 います。
 ですから、島津さんの気持ち次第です・・・・」

颯太は医師からそう言われ、覚悟を決めたようにもう一度医師に尋ねた。
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