政略結婚~天使に導かれて~
そして颯太は、意を決したように

「愛、大事な話があるんだ・・・・」

「なに・・大事な話って・・・・・」

「愛も聞いただろ・・・俺の命が、後僅かだって・・・・」

「そうた・・・・・・・」

愛の目には、あっという間に涙が溜まった。

「愛、色々考えたんだが、俺に残された時間を、愛と二人で過ごしたい。
 もちろん、この手でわが子も抱きたい。
 だが、子供をこの手で抱くことが出来るかどうかは、正直、解らない。
 でも、愛が俺の子供を産んでくれることを決心してくれたことは、本当に
 感謝するよ・・・。
 だから、再度、愛に聞きたいんだ・・・。
 本当に、子供を産んで良いのか?」

「なんで、そんな事を聞くの? 私は、颯太の子供だから産みたいし
 颯太とこの子と、親子三人で幸せになるんでしょ!!
 颯太、そう約束したじゃない!?
 違うの・・・・ねぇー、この子を産ませて! お願い・・・」

「まなみ・・・・・ありがとう・・・」

「そうた・・・お願い、私を一人にしないで・・・・・」

愛は、我慢していた涙を、ポロポロと零し、颯太に抱きついた。

「ごめんな、愛。 俺なんかと一緒になったせいで、愛には
 苦労ばっかり掛けて・・・・。」

「違うよ、颯太。私は、颯太と一緒になったからこそ、幸せなんだよ。
 颯太から、一杯愛を貰っているから、幸せなんだよ・・・・」

愛がそう言うと、颯太は、愛を抱きしめながら、二人で涙を流した。
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