政略結婚~天使に導かれて~
頼まれた高橋は、すぐに医師と病院の手配をした。

颯太を往診してくれる医師は、高橋の先輩が鎌倉にクリニックを
開いているので、彼の往診は、その先輩に頼み、愛の出産は、
立ち合いが出来る病院を紹介した。

そして颯太は、十日ぶりに退院し、愛と一緒に自宅に帰った。

その夜、颯太のマンションに、豊たちがやって来て、

「兄さん、頼まれていた鎌倉の別荘の手配、済んだよ」

「ありがとう、悠太。」

「颯太、鎌倉の別荘なんか、どうするんだ?」

「うん、皆に聞いて欲しいんだけど・・・。」

「なんだ?」

「うん、俺達、鎌倉の別荘で、子供が生まれるまでそこに住もうと
 思っているんだ。
 あそこなら環境も良いし、住むには便も良いし、それに高橋先生から
 俺の往診をしてくれる医者も捜してもらった。
 愛も別荘の近くの病院で、子供を産むことにしたんだ・・・。」

「颯太、お前・・・・・」

「あぁー、あとどれくらい俺に時間が残されているのか解らないけど
 俺は、最後まで愛と一緒に過ごしたいと思っている。
 最後の俺の我儘を、皆、許して欲しい・・・」

「「颯太・・・・」」 「兄さん・・・・」

三人は、何も言えなかった。
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