政略結婚~天使に導かれて~
その夜、皆で夕食を終えた後、

「皆に聞いて欲しい事があるんだけど・・・」

「どうした?」

竜太郎は、愛の真剣な顔を見て、問いかけた。

「うん、私、こっちに帰ってこようと思うの・・・・。
 颯太のお骨が、納骨されれば、お墓はこっちになるし、それにいつまでも
 鎌倉の別荘にいるわけにはいかないと思うの・・・。
 それに、光太を育てながら、私も仕事をしようと思って・・・・。」

「えっ、仕事って・・・・・」

華英は、驚きを隠せなかった。

颯太の遺産は、愛や光太が生活していくには十分あるし、西園寺も島津も
当然援助はしていくつもりでいたので、愛の言葉には驚いた・・・・。

「うん、光太は、大きくなるばかりだし、子育てってせいぜい、
 小学生まででしょ!中学に上がるようになれば、親の関わり方は
 随分変わって来るし・・・、それに私も何かしないと・・・・
 光太にばかり目が行くと、光太にとっても良くないし・・・
 それなら、仕事をしようと思って・・・・。」

「そうだな・・・。いいかもな!?」

「孝太郎、そんな無責任な事言わないで!」

華英は、孝太郎に反論した。

「まぁー、待て華英。愛、仕事の目途は付いているのか?
 それとも、またアレンジをするのか?」

「ううん、アレンジの仕事は好きだけど、土日がなく、夜の講習が
 あったりすると、光太との時間が取れないから、普通の会社に
 努めようかと・・・・。」

愛は、豊から納骨の話を聞いた時から、これからのことを考えて、
出した結論だった。
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