政略結婚~天使に導かれて~
「栞、あくまでも白を切るのか?」

「だから、何の事よ!?」

栞の顔色が段々悪くなってきた・・・

「会長が、栞の過去を全部調べたんだ。子供が産まなくなったのは
 前付き合っていた相手の子供を妊娠し、その子を中絶した際、術後が
 悪くて、二度と妊娠できなくなり、その相手は、妻子持ちの男だった。
 と、調査票に書いてあった・・・」

「・・・・・・・・・なんで・・・・なんでそんな事、調べるのよ!」

栞は、とうとう泣き出し、感情をむき出しにしてきた。

「颯太、愛してるの。お願い、愛人でもなんでもいいから、側に
 おいて・・・お願い。捨てないで・・・・」

「栞、それは無理だ。俺は、その話を聞いてから、栞に対する気持ちが
 冷めてしまっている。それに、今は、愛人を作るつもりはない。」

「うわぁ--------------なんでよ--------なんで私ばっかり----」

「栞、解ってくれ・・・。君とは一緒に居られないんだ・・・。
 俺は、愛を愛し始めてる。そんな俺には、君を幸せには出来ない。
 君は、君を大切にしてくれる人を見つけるんだ。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 それから、来週から、俺の秘書も外れてもらう。正式な人事が出るまでは
 秘書課だが、その後は違う部署に変わって貰うから・・・。
 それと、ここは、7月まで借りてあるから、2か月の間に、引っ越し先を
 決めて、引っ越ししてくれ・・・。
 俺は、自分のスーツだけ持って行くから、あとは、好きにしてくれ。
 捨ててくれても構わないから・・・・。
 栞、今まで、ありがとう。君の幸せを見つけてくれ・・・」

颯太は、そう言い残すと、クローゼットの中の、自分の衣類をスーツ
ケースに詰め、部屋を出ていった。

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