政略結婚~天使に導かれて~
「ねぇー栞、別れは悲しいわ。でも、栞と専務は、縁がなかったのよ。
 ここでいつまでも、悲しみに浸っていても先には進めないし、栞も
 自分の時間を無駄にしてしまっているのよ。
 ちゃんと現実と向き合って、今は、事実を受け入れましょ! ねぇ!」

「博美さん・・・・・私・・・・・」

栞は、博美にしがみ付きながら、泣くだけ泣いた・・・・。

暫く泣いていた栞は、泣きながら眠ってしまった。

そんな栞を見ながら、博美は、寝室から毛布を持って来て、栞に掛け
博美は、部屋を出た。

博美自身、社長の豊との別れも経験しているので、栞の気持ちは
痛いほどわかる・・・・。

だが、所詮栞が結婚できる相手ではなかったのだ。

栞が子供を産むことが出来るのなら、また違ったのかも知れない。

世の中、皆が皆、子供を産むわけじゃない。

子供が欲しくても、出来ない夫婦は沢山いる。

今は、不妊も男女の割合が半々だと聞く。

たとえ結婚しても、子供が居なければ、居ないなりの生活があると
思うし、子供がいればいたなりの生活がある。

要は、夫婦関係がどれだけしっかりしているかが大切なんだと思う。

子供がいても、夫婦関係が上手くいかなければ、離婚になるし、
世の中、その与えられた環境の中で、いかに自分らしく生きていくか
が大切だと、博美は思っている。

今日の栞を見て

「暫くは、様子見ないとならないわね・・・・ふぅー」

ため息をつきながら、博美はマンションを後にした。
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