ゆら ゆら
新しい日々
 

最初こそ肩に力が入り縮こまっていたが、「誰も知らない」という事実は私を自由にさせてくれた。

共通の授業はあるが、高校までのようにHR単位で活動することもあまりないのでベタベタと常に一緒になることもなくて、物理的には忙しないのだが、精神的には穏やかに時間が過ぎた。

5月の連休が終わり、北国に漸く花が一気に咲きだす頃には、何人か友人と呼べる相手もできた。

派手なグループから少し離れた、静かに授業も真面目に受ける娘達。

ちゃんと在学中に資格も取りたい…と取り組む彼女達を見て、何も考えずにただここに来た自分を少し恥じた。

そう言うと

「まだ始まったばかりだもの…。これからちゃんと考えたって大丈夫だよ。資格は邪魔にならない、ってうちの親に言われてたから私はここにしたんだ」




 
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