ゆら ゆら
「親」…
両親と進路について話したことがあっただろうか。
まだ、家族三人揃っていた頃には、ぼんやりと進学して地元で就職…と考えていたような気がする。
父が勤めていたのが地元の信金だったので、結婚するまではそういう手堅い所で勤めたいと。
ぼうっとしていたのか、友人に何度か名前を呼ばれてはっとする。
彼女達はまだ私に両親がいないことを知らなかったから。
「加奈ちゃんのお家はあんまり煩くないの?」
「…あ、うん」
聞かれて曖昧にしか返事が出来なかった。
付き合い始めて1年以上経ってから、両親は事故で亡くなったと漸く言えた。
なんの瑕疵もなく育った彼女達は、純粋で優しくて
私には眩しかった。
それでも彼女達の助言もあり、後期からでも取れる資格講座や、夏休みなどの集中講義などで取れる資格はみんな取った。