ゆら ゆら


「親」…

両親と進路について話したことがあっただろうか。

まだ、家族三人揃っていた頃には、ぼんやりと進学して地元で就職…と考えていたような気がする。

父が勤めていたのが地元の信金だったので、結婚するまではそういう手堅い所で勤めたいと。

ぼうっとしていたのか、友人に何度か名前を呼ばれてはっとする。

彼女達はまだ私に両親がいないことを知らなかったから。

「加奈ちゃんのお家はあんまり煩くないの?」

「…あ、うん」

聞かれて曖昧にしか返事が出来なかった。

付き合い始めて1年以上経ってから、両親は事故で亡くなったと漸く言えた。

なんの瑕疵もなく育った彼女達は、純粋で優しくて

私には眩しかった。


それでも彼女達の助言もあり、後期からでも取れる資格講座や、夏休みなどの集中講義などで取れる資格はみんな取った。


 
< 11 / 14 >

この作品をシェア

pagetop