ゆら ゆら
二度目の若葉の頃…
その人と初めて出会った。
毎週土曜日にお母さんと一緒に来ていた陵平くん。
一年生になったからもう紙芝居には来ないよ…なんてお兄ちゃんぶっていた。
いつも一番前に陣取って、身を乗り出していたのに…とちょっと寂しく感じていた。
お母さんも二人目のお子さんの出産で暫く来れません…と残念そうにしていらした。
可愛らしい少女のようなお母さん。
それがある日、陵平くんがやって来た。
「どうしたの陵平くん?1人で来たの?」
「ううん、パパと!」
ご機嫌で低学年向きの書棚の前にいる陵平くん。
「お姉さん、どれ読んでほしい?オレ読んであげるよ」
「あ、ありがとう…
でもパパは?どこにいるの?」
確か陵平くんの家は子どもの足ではかなりの距離だったはずだ。