ゆら ゆら
忘れない…忘れたい
 

幽かに見える光りは、月。

ゆらり…と揺れて形が歪む。

水底から見上げているというのに、こぽり、とも水泡は上がらない。

変なの…

と、思った所で、目が醒めた。



私、加奈子は23歳のOL。

地方都市で高校までを過ごし、短大入学のためにこの地に出て来た。

この辺り一番の都市。

適度に人との距離感があり、居心地が良かった。

誰も自分を知る人のいない土地で、漸く深呼吸が出来る気がした。

< 2 / 14 >

この作品をシェア

pagetop