ゆら ゆら
 

それからは 決まった時間に電話は来なくなった。

憎い…という感情を通り越し、母の浅ましさが悲しかった。


こんな暮らしの中、唯一味方になってくれていたのが、母の妹の千紗[チサ]

母と一回りほど歳が離れていて、明るくサバサバとした人。

母には叔父が管理している…と言ったが、それはホントのことじゃない。

千紗が第三者に管理してもらった方がいいと助言してくれたから。

母のしたことを私以上に怒り、私を心配してくれていたが、近くに住んでいなかった。

高校を卒業したら就職することばかり考えていた私に、進学を勧めてくれたのも彼女だった。

なんでもいい…

ここから逃げ出せれば、とその時は思っていたし。

結果として、進学して良かった。

哀しく惨めな学生時代がリセットできたから。


 
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