あたしとあいつ
「いったぁ...」
誰かとぶつかってしまった。
「何やってんだよ杏奈!」
「ほんとにごめんなさい!怪我してないですか?」
あ...この人、どっかで...
「私の方こそすいません。大丈夫でしたか?」
サラサラな栗色の髪。
タレ目がちな大きい目。
スラっとした体。
綺麗な人...
「あの...」
「あっ!すいません。大丈夫ですよ。」
「よかった。私は白井夏帆といいます。よろしくね。」
やっぱり、あの時の...
「あたしは...」
「杏奈さんですよね?和泉杏奈さん。私と隣のクラスで学年1背が高い女の子。」
「な、なんで?」
「すっげぇ。」
あたしの事...知ってたんだ。
「あ...すいません。私、学年の人はだいたい覚えてるんで。」
「すごっ!」
可愛くて、優しくて、みんなの事ちゃんと見てて...
尊敬しちゃうな。
「じゃあ私はこれで。」
タッタッタッタ...
素敵な人だったな。
しかしこれから起きる事に杏奈は気づいていなかった......