あたしとあいつ
第10章
「杏奈!聞いたよ!!一之宮と付き合うことになったんだって?おめでとう。」
可鈴...
「ありがとう。翔大も付き合ってるんだって。」
「えっ?!誰と?」
「...夏帆ちゃんだってさ。」
「マジで!すごいね。でも意外かも。」
「何で?」
「だって翔大は...」
「翔大は?」
「あ...」
と可鈴が言いかけた時、
「何してんのっ?」
翔大が話に入ってきた。
すると可鈴は
「やっぱ...何でもない。」
ダッ
「え?!...そっか。」
何だったんだ?
「杏奈。」
「ん?」
「あ、ごめん。『杏奈』って言わないほうがいい?」
え...
「な、何で急に?」
「あ!いや、そのっ...宏斗にだけ『杏奈』って言われたほうがいいのかなって。」
ズキン...
「やだ...」
「へ??」
「ずっと...『杏奈』って呼んでよ...」
「...杏奈。」
「変な気遣いなんて...あたし...」
う...う...うぁぁぁぁぁぁ!!!
「あ、杏奈!」
何でだろ。
涙が...止まんない。
「...杏奈、ちょっと来て。」
うぁぁ...
「...え?」