あたしとあいつ
第3章
「では、男女に別れて决めてください。」
担任の言葉でみんなが一斉に動き出す。
今は今度ある体育祭の競技に出場する人を決める時間。
「杏奈。何に出る?」
「ん~。可鈴はもちろん100m決勝とリレーでしょ?」
「そうなるかな。杏奈もリレー出ればいいのに。」
「いやいや。あたしなんかが出られるわけないじゃん。」
「はぁい、女子集まって。」
体育委員の大きな声が教室に響き渡る。
「100m決勝なんだけど...可鈴でいい?」
「いいよ♪」
「じゃあ決まり。で、リレーは决めてあるんだけど...それでいい?」
「オーケー。」
「で、だれなの?」
「1人はやっぱ可鈴でしょ。」
「じゃあ発表するね。」
どうせ呼ばれないよ。
「可鈴、みなみ、夏菜、奈緒、莉子、碧、さくら、」
どうせ...
「そんで最後は葉月。」
ほらね。どうせあたしは背が高いだけの女ですよ!
「杏奈...あのさ...」
「可鈴。良かったね!あたしめっちゃ応援するから!!」
「杏奈。...ありがと。」
これでいいんだ。
なんでもそう。
いつでもあたしは主役になれない。
...ただの脇役だ。