【完】大キライなキミに片想い中。




「彼氏がいても普通に他の男に触れられる由愛がわかんねぇーよ」


翔希君は悲しそうな目をしていた。


「翔希君………」


私が零夜君と仲良くしたから怒ってるの……?


「ごめん、しばらく頭冷やす」


ガチャン―――


翔希君はそう言って教室を出ていった。


何だろう……別れよう、とか言われたワケでもないのに……心にぽっかり穴があいたみたい……。


私がもう少し鋭かったら、翔希君の気持ちをわかってあげられてたのかな?


自分の無力さに不意に涙が零れ落ちた。


「うぅ……っふぅ……っ」


せっかく付き合って幸せになれると思ってたのに……私が全部ぶち壊したんだよね……。


自業自得だ……。


私は授業に戻る気にもなれず、午前中はその空き教室で放心状態だった。
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