【完】大キライなキミに片想い中。




【翔希サイド】



あー……俺ってば何してんだよ。


勝手にヤキモチ妬いてムカついて。
由愛に八つ当たりして……最低だな。


由愛のとこから去った後、俺は誰も来ないであろう、図書室にいた。


自分が情けなさ過ぎて呆れる。


授業中、教科書見せてあげてた時に話してたのも、真っ赤になった零夜を心配して熱がないか確かめたのも、全部……由愛の優しさだってことぐらい、わかってたのに。


俺はそんな自分がイヤになって、昼休みも放課後も由愛のところには行かなかった。


「そろそろ閉めるので出て下さーい」


窓の外が薄暗くなった頃、用務員が戸締りに来て帰ることにした。


1人で歩く通学路って、なんかすっげぇ悲しい。


由愛……ちゃんと帰れたかな。


そんなことを考えていた時―――


「翔希」


聞き覚えのある声が、俺を呼び止めた。


「零夜……」


「お前、今日何しとったんや。由愛に何言ったん?由愛、めっちゃ泣いてたで?自分のせいで翔希を傷つけたって」


由愛がそんなこと言ってたのか……。
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