【完】大キライなキミに片想い中。




零夜君はポケットからケータイを取り出し、何かをし始めた。


「今から、これ送るわ」


零夜君の見せてくれたケータイ画面には翔希君宛てのメールが作成されていた。


《今すぐ屋上に来て由愛を賭けて俺と勝負しろ。
もし来んかったら由愛は俺がもらうから》


そんな内容だった。


「零夜君、本気なの!?」


「当たり前や。翔希に強くなった俺を見せつけたいし、由愛がほしいからな」


でも……来てくれる自信がない。


「翔希君……来てくれるかな」


「来るやろ、由愛のこと本気で好きやったらな」


「っ」


零夜君の“由愛のこと本気で好きやったらな”っていう言葉が胸に刺さる。


翔希君が来てくれますように。
こんな彼女でも……好きって思っててくれますように。


私は心の中で祈った。
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