恋人たちのパンドラ【完】
プロローグ
(緊張する・・・)
徳永 悠里は、三国百貨店の前に立っている。
国内有数の百貨店である三国で、玩具メーカーを一堂に会した催し物が行われることになっている。
そこに悠里の勤める玩具メーカー【YAMATO】も出店することになっているのだ。
本来ならば先輩が担当なのだが、別の案件にかかりきりでこの件に関しては、先方より悠里が担当者と指名されて、今に至る。
(どうして今回、私が指名されたんだろう?)
悠里の素朴な疑問は間もなく明らかになるのだった。
受付で名前を言い、会議室の場所を聞くと先輩から聞いていた階とは違いずいぶんと上のフロアを案内された。
(担当の人も交代したのかな?)
少し不思議に思いながらも目的の会議室を目指す。
悠里は会議室の前で、深呼吸をしスーツの裾を引っ張って背筋を伸ばした。
「失礼します」
声をかけて、会議室のドアをゆっくりと開ける。
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