恋人たちのパンドラ【完】
***
壮介は、専務室の窓際でたばこをくわえて外を見ていた。
先ほどから降り出した雨は本格的になり、窓ガラスをパタパタと叩く音がしていた。
あの後、医務室につれて行くために悠里を抱えようとしたが、断固拒否され逃げられた。
非常階段の外に逃げ出した悠里を捕まえようとしたが、
「人の目があります」
と言う悠里の拒否の言葉で壮介はあきらめ、足早に去っていく悠里を静かに見つめた。
悠里は見かけはウサギのように柔らかく従順そうだが、実際は頑固で決めたことは頑として譲らないところがある。
その性格が今回のこの9年にも及ぶ誤解を生んだ原因の一つだろうと壮介は考えている。
そんな頑なな悠里を無理矢理なんとかしようとすると余計にこじれることも壮介は経験上知っていた。
(さて、いったいあの頑固ウサギどうしたら俺のもとに素直にもどってくるんだ)
壮介はこれからのことを考えながら、ほとんど吸われずに灰になったたばこを灰皿へと押しつけた。
壮介は、専務室の窓際でたばこをくわえて外を見ていた。
先ほどから降り出した雨は本格的になり、窓ガラスをパタパタと叩く音がしていた。
あの後、医務室につれて行くために悠里を抱えようとしたが、断固拒否され逃げられた。
非常階段の外に逃げ出した悠里を捕まえようとしたが、
「人の目があります」
と言う悠里の拒否の言葉で壮介はあきらめ、足早に去っていく悠里を静かに見つめた。
悠里は見かけはウサギのように柔らかく従順そうだが、実際は頑固で決めたことは頑として譲らないところがある。
その性格が今回のこの9年にも及ぶ誤解を生んだ原因の一つだろうと壮介は考えている。
そんな頑なな悠里を無理矢理なんとかしようとすると余計にこじれることも壮介は経験上知っていた。
(さて、いったいあの頑固ウサギどうしたら俺のもとに素直にもどってくるんだ)
壮介はこれからのことを考えながら、ほとんど吸われずに灰になったたばこを灰皿へと押しつけた。