恋人たちのパンドラ【完】
「最初に部屋に入った時に一回。ビールを注ぐときに一回。今日俺と目を合わせたのはその二回だけだ」
そういって、不機嫌な表情を隠そうともせずに悠里に告げた。
「そんなこと数えてどうするの?」
自分の目の位置よりもはるかに高い場所にある壮介の顔を睨む。
「数えなくても分かるぐらい、俺のほうを見ようともしないじゃないか」
そういってアーモンド型の目を細めて悠里を軽く睨んだ。
「そんなの、気のせいよ」
そういって、壮介の前をすり抜けようとした悠里の腕を壮介がつかみ壁へと押しつけた。
「そんなに俺といるのが嫌なの?9年前も他に男がいるって思わせて別れたいぐらい俺といるの嫌だった?」
壁から逃れられなくされて、困っているのは悠里のほうなのに、その張本人の壮介の目が悲しみでいっぱいなことに悠里は気づいていた。
自分がこの強くしなやかな男性に、こんな表情をさせているかと思うと申し訳なくなる。
「答えたくない」
小さな声で顔も見ずに(正確には見れなかった)答えて、その場から逃れようとした悠里の両頬を壮介が大きな手で包み、口付けて来た。
悠里は抵抗しようと壮介の胸を両手で握りこぶしを作りどんどんと叩くがどんなに強く叩いても壮介はびくともせずに、悠里への口づけを激しくしていくばかりだった。
やがて、激しく打ち付けていた拳が力なく下ろされるまで、壮介の熱い口づけは続いた。
そういって、不機嫌な表情を隠そうともせずに悠里に告げた。
「そんなこと数えてどうするの?」
自分の目の位置よりもはるかに高い場所にある壮介の顔を睨む。
「数えなくても分かるぐらい、俺のほうを見ようともしないじゃないか」
そういってアーモンド型の目を細めて悠里を軽く睨んだ。
「そんなの、気のせいよ」
そういって、壮介の前をすり抜けようとした悠里の腕を壮介がつかみ壁へと押しつけた。
「そんなに俺といるのが嫌なの?9年前も他に男がいるって思わせて別れたいぐらい俺といるの嫌だった?」
壁から逃れられなくされて、困っているのは悠里のほうなのに、その張本人の壮介の目が悲しみでいっぱいなことに悠里は気づいていた。
自分がこの強くしなやかな男性に、こんな表情をさせているかと思うと申し訳なくなる。
「答えたくない」
小さな声で顔も見ずに(正確には見れなかった)答えて、その場から逃れようとした悠里の両頬を壮介が大きな手で包み、口付けて来た。
悠里は抵抗しようと壮介の胸を両手で握りこぶしを作りどんどんと叩くがどんなに強く叩いても壮介はびくともせずに、悠里への口づけを激しくしていくばかりだった。
やがて、激しく打ち付けていた拳が力なく下ろされるまで、壮介の熱い口づけは続いた。