恋人たちのパンドラ【完】
実際に壮介が引き取られたのは5年生になってから。2年間もの間自分を引き取る引き取らないという大人たちの黒い駆け引きを目にして、小さかった壮介の心はだんだんかたく閉ざされていった。
その2年間の間、壮介は『ひかり園』で他の生徒たちと一緒に生活していた。
自分を歓迎していない家庭に引き取られるくらいなら、ひかり園に残りたいとシスターに何度もお願いしたが、実の父親が引き取ると言うのを園が拒むことなどできなかった。
このころから、壮介の中で『あきらめる』ということが大半をしめていった。
母親にそっくりの壮介を、継母の美津子が可愛がるわけなどなく、忌々しいものを見る目で毎日ののしられた。
どんなに頑張ったところで、誰にも褒められず、それが三国を背負う上であたりまえだと言われた。
父親は仕事で忙しく、ヒステリックな妻に辟易しており(だからこそ壮介の実母とそう言う仲になったのだろう)家にはほとんど寄りつかなかった。
ここでの生活が壮介のどこか影のある人格を作り上げた。
そして孤独とあきらめのつまったこの屋敷に壮介のいい思い出など一つもなかった。
その2年間の間、壮介は『ひかり園』で他の生徒たちと一緒に生活していた。
自分を歓迎していない家庭に引き取られるくらいなら、ひかり園に残りたいとシスターに何度もお願いしたが、実の父親が引き取ると言うのを園が拒むことなどできなかった。
このころから、壮介の中で『あきらめる』ということが大半をしめていった。
母親にそっくりの壮介を、継母の美津子が可愛がるわけなどなく、忌々しいものを見る目で毎日ののしられた。
どんなに頑張ったところで、誰にも褒められず、それが三国を背負う上であたりまえだと言われた。
父親は仕事で忙しく、ヒステリックな妻に辟易しており(だからこそ壮介の実母とそう言う仲になったのだろう)家にはほとんど寄りつかなかった。
ここでの生活が壮介のどこか影のある人格を作り上げた。
そして孤独とあきらめのつまったこの屋敷に壮介のいい思い出など一つもなかった。