恋人たちのパンドラ【完】
「何を言っているの?あなたに拒否権などないのよ」

そういって、写真を壮介に叩きつけた。

「どう言われても俺には決めた相手がいます。それに愛のない結婚ほど不幸なことなどない」

それは暗に、自分たちのことを言われていると美津子は感じ取って、顔を真っ赤にして壮介を睨む。

「あなたは、碓井壮介ではないの。三国の跡取りよ。だまって私の決めた相手と結婚しなさい」

「しかし――」

「話は終わりよ。出て行きなさい」

壮介の言葉を途中で切って、部屋から追い出そうとする。

壮介もこれ以上はここにいても埒が明かないと判断して、部屋を後にした。
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