恋人たちのパンドラ【完】
大の男が、大きな肩を震わせ泣いている。そんな姿をみてシスターは声をかけた。

「あなたは、そんなに弱い人間じゃないわ。

守るものがあればきちんと戦える人です。

過去の過ちを悔やむならば今何をしないといけないか、きちんと考えなさい。

それが今あなたがすべきことです」

そういって、壮介の顔をあげさせた。

(そうだ、こんなところで泣いてる場合じゃない。きっと悠里も今頃泣いてる)

「取り乱してすいません。ここに来るとまだどこか子供に戻ってしまうようで・・・」

シスターに謝ると

「立派になってもあなたは私の中ではまだ小学生のやんちゃ坊主のままですよ。でもそれと同時に一人の女性を守る決心をした大人の男の人にも見えます。頑張って」

そういったシスターは、悠里の兄の勤める勤務先と兄の名前が書かれたメモを壮介に手渡した。

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