恋人たちのパンドラ【完】
***
翌日、悠里は高級住宅街の中にある立派な日本家屋の前に立っていた。
「ここか・・・」
門構えさえも悠里を威嚇している気さえして、インターフォンを押す指が震える。
(しっかりしなくちゃ)
一度目を閉じて、ゆっくりとインターフォンを押した。
「―――こちらへどうぞ」
そう言って、相変わらず表情のない川端が悠里を応接室へと案内した。
そこは立派な梁が一本通っていて、おごそかな和室だったが客人をもてなすために年代物のソファを置いてあった。
立派なソファに腰掛けると、クッションがとても効いていて悠里が思っているよりも腰が沈んで体勢をあやうく崩しかけるところだった。
縁側に続く庭は立派な松の木や大きな池で泳ぐ鯉など、素人の悠里にでさえ分かるほど立派なものだった。
これから、壮介の母親に会うと思うと自然に手にはうっすらと汗をかいた。
バッグから急いでハンカチを取り出し、手の汗をふきそのままぎゅっと握りしめた時に、廊下がギシリと音を立てた。
翌日、悠里は高級住宅街の中にある立派な日本家屋の前に立っていた。
「ここか・・・」
門構えさえも悠里を威嚇している気さえして、インターフォンを押す指が震える。
(しっかりしなくちゃ)
一度目を閉じて、ゆっくりとインターフォンを押した。
「―――こちらへどうぞ」
そう言って、相変わらず表情のない川端が悠里を応接室へと案内した。
そこは立派な梁が一本通っていて、おごそかな和室だったが客人をもてなすために年代物のソファを置いてあった。
立派なソファに腰掛けると、クッションがとても効いていて悠里が思っているよりも腰が沈んで体勢をあやうく崩しかけるところだった。
縁側に続く庭は立派な松の木や大きな池で泳ぐ鯉など、素人の悠里にでさえ分かるほど立派なものだった。
これから、壮介の母親に会うと思うと自然に手にはうっすらと汗をかいた。
バッグから急いでハンカチを取り出し、手の汗をふきそのままぎゅっと握りしめた時に、廊下がギシリと音を立てた。