恋人たちのパンドラ【完】
「さて、あなた徳永悠里さんね」

「はい」

短く返事を返した。この先に続く話を緊張しながら聞く。

「今日お呼び出ししたのは、壮介さんのことです。最近頻繁にお会いになっているようだけど、どういうことがしら?」

「いえあの、どういうと言われましても・・・」

「単刀直入に言いますと、お付き合いされているの?されていないの?」

「付き合っては・・・いません」

事実そうなのだから、そう答えるしかない。

「あら、ずいぶん煮え切らない返事をなさるのね」

見下す目線と嘲笑いを含んだ声色に悠里は一気に気分が悪くなる。言葉よりも先に胃から別のものがせりあがってきそうだ。

「それは、どういうことですか」

「皆まで言わないと理解できないのかしら?これだから学歴もまともにない人は!」

そういって冷たい視線で悠里をさらに追い込もうとする。
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