恋人たちのパンドラ【完】
(どうしよう―――)

嘔吐に苦しみながらも、これから待ち受けるさらなる魔女の問責に今の自分が耐えられるとは到底思えなかった。

何度か嘔吐を繰り返し、少し落ち着いてきた。このままここにいても解決にならない。

いっそ逃げてしまおうか・・・

そう思っていた悠里の考えはトイレを一歩出た時に打ち砕かれた。

「奥様がお待ちでございます」

川端に部屋に戻るように促され、悠里は重い脚を引きずりがら部屋へと戻った。

いや連れ戻されたと言ったほうが正しいだろう。

背後には川端がぴったりとつけていて、悠里の一挙手一投足を監視していた。
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