恋人たちのパンドラ【完】
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いつも通りガレージに車を停めると、夜も遅い時間だったので合鍵を使って中に入った。
廊下を歩いていると、明かりが見えた。見つかるとまた面倒なことになるからと足早にその場を去ろうとすると
「あの女!忌々しい。一体どこに消えたの?」
美津子の荒れた声に壮介の足が止まる。
「夕方徳永様から小切手が返送されてまいりました。消印は四国になっています」
(徳永?∸――悠里か!)
そう思っていっきに部屋に入ろうと思ったが思いとどまり中の二人の会話をそのまま聞いた。
「子供は始末させたの?」
(子供?)
「いえ、確認はとれていません。あの日私が徳永様のアパートを訪ねるとすでにもぬけの殻でした」
そう報告する川端に美津子が手の甲を振りおろして頬を叩く。
「あなた、何年この私につかえてるの。本当に役立たずね。あの娘が万が一壮介さんの子供を産んだらどうするの!」
いつも通りガレージに車を停めると、夜も遅い時間だったので合鍵を使って中に入った。
廊下を歩いていると、明かりが見えた。見つかるとまた面倒なことになるからと足早にその場を去ろうとすると
「あの女!忌々しい。一体どこに消えたの?」
美津子の荒れた声に壮介の足が止まる。
「夕方徳永様から小切手が返送されてまいりました。消印は四国になっています」
(徳永?∸――悠里か!)
そう思っていっきに部屋に入ろうと思ったが思いとどまり中の二人の会話をそのまま聞いた。
「子供は始末させたの?」
(子供?)
「いえ、確認はとれていません。あの日私が徳永様のアパートを訪ねるとすでにもぬけの殻でした」
そう報告する川端に美津子が手の甲を振りおろして頬を叩く。
「あなた、何年この私につかえてるの。本当に役立たずね。あの娘が万が一壮介さんの子供を産んだらどうするの!」