恋人たちのパンドラ【完】
「妊娠しているのは確かです。ただ壮介さんの子とは限らないでしょ。あのあばずれ―――」

「悠里のことを悪く言うな」

低く地を這うような声に美津子は黙った。

他の男の子供であるはずなどなかった。

あの日悠里は間違いなく壮介が初めての相手だったし、その後悠里の周りに親密な男の陰など微塵もなかった。

俺の子で間違いない―――

そう思うとなおさら悠里の行方を捜さなければならない。何としても―――

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