恋人たちのパンドラ【完】
「実は先日から連絡がとれなくてマンションも引っ越していて―――」

―――ドガッ

壮介の言葉は仁の拳で遮られた。

殴られた壮介は壁にぶつかり傍にあったごみ箱が派手に倒れた。

「お前、また性懲りもなく悠里になにかしたのか?」

怒りをまとった仁に上から睨みつけられる。

「俺は――9年間どうやっても悠里のことが忘れられずにいました。だからこそ今度は悠里が許してくれるならば傍にいたいと。悠里もそれを望んでくれているとどこかで思っていました。なのに・・・」

「いなくなったのか・・・」

力なく壮介が頷く。
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