恋人たちのパンドラ【完】
「やっと、やっと会えた。ずいぶんと逃げ回ってくれたな」
言葉は優しく悠里の耳に響く。

「逃げてなんていないわ。少し生活環境を変えたかっただけよ。おおげさだわ」

悠里は壮介のほうを一切見ずに答えた。

「生活環境を変えるだけで四国まで行くのか?」

壮介の避難がこもった言葉に口をつぐむ。

一体壮介はどこまで知っているのか、悠里は不安になる。
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