恋人たちのパンドラ【完】
「私、専務にお払い箱にされたのよ。あなたのせいね。
そればかりか、こないだの騒ぎが大きくなって、会社にもいられなくなったの。この歳でプータローよ」
悠里に向かい嘲笑する。
「それなのに・・・なぜあなたがここにいて、幸せそうに笑ってるの?
あなたさえ現れなければこんな風にめちゃくちゃになんかならなかったのに!」
そう大声で怒鳴りはじめ悠里の両肩をつかみ激しく揺さぶる。
「いや、やめて!痛い」
悠里はおなかをかばいながら美咲の手から逃げようとする。
やっと振りきったが、美咲がバッグから鋭く光る刃物を持ち出したのを目にした。
「いやー!」
身の危険を感じた悠里は背を向けておなかをかばうように逃げ出したが、すぐに追いつかれ腕をつかまれた。
屈みこみどうにかおなかだけは守らなければと思った瞬間―――