恋人たちのパンドラ【完】
「大丈夫ですか!救急車すぐに呼びます」

防犯カメラを見ていた警備員がマンションのコンシェルジュとともに地下の駐車場までやってきた。

美咲はとうとう立っていられなくなったのか、泣きながらその場にうずくまった。その腕を警備員が取り押さえている。

「私が悪いんじゃない!あの女が悪いのよ!全部全部あの女のせいなんだから―――!」

力いっぱい叫ぶ美咲の声は悠里には届いていなかった。

「壮介、壮介、大丈夫どうしよう。壮介―――」

パニックになり壮介の名前を呼び続ける。

「悠里落ち着くんだ。それよりお前は怪我してないか?」

苦痛で歪む顔で悠里のことを心配する壮介。
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