恋人たちのパンドラ【完】
「YAMATOから来ました。徳永です」
そう声をかけて部屋の一番奥にいる人物に視線を移す。
夕方の会議室は夕日のオレンジ色に染められていた。その窓から、スーツのポケットに手を入れて外を眺めていたその人物はゆっくりと時間をかけて悠里のほうに振り向いた。
「ようこそ、三国百貨店へ」
冷たい笑いをうかべたその顔を目にした悠里の心臓にドクンという大きな衝撃が走り、その衝撃はズキスキと疼痛に姿をかえて、全身に駆け巡った。
「そ、壮介・・・」
悠里の震える唇はその名前を口にするのがやっとだった。
パンドラの箱のように、その思いは決して外に出してはならない。悠里は9年間頑なに自分に言い聞かせていた。
(どうして・・・)
目の前にいる人物から、一ミリも目が離せない。
―――私は幸せになってはいけない。罰を受けなくてはいけない―――
悠里がずっと自分の胸に刻んできたセリフを頭の中繰り返すことしかできなかった。
そう声をかけて部屋の一番奥にいる人物に視線を移す。
夕方の会議室は夕日のオレンジ色に染められていた。その窓から、スーツのポケットに手を入れて外を眺めていたその人物はゆっくりと時間をかけて悠里のほうに振り向いた。
「ようこそ、三国百貨店へ」
冷たい笑いをうかべたその顔を目にした悠里の心臓にドクンという大きな衝撃が走り、その衝撃はズキスキと疼痛に姿をかえて、全身に駆け巡った。
「そ、壮介・・・」
悠里の震える唇はその名前を口にするのがやっとだった。
パンドラの箱のように、その思いは決して外に出してはならない。悠里は9年間頑なに自分に言い聞かせていた。
(どうして・・・)
目の前にいる人物から、一ミリも目が離せない。
―――私は幸せになってはいけない。罰を受けなくてはいけない―――
悠里がずっと自分の胸に刻んできたセリフを頭の中繰り返すことしかできなかった。