恋人たちのパンドラ【完】
「私は大丈夫。すぐ救急車くるだろうから、もう少し我慢してね」

壮介の額には脂汗がにじむ。それを悠里は手で拭った。

「お前が無事で安心した。これで少しは罪滅ぼしできたよな・・・。」

苦しいはずなのに悠里を心配させまいと笑顔を見せる壮介に悠里の胸が締め付けられる。

「それに、俺の子供守ってくれてありがとう」

苦しいのか壮介はその場に腰をおろした。右肩からはどんどん血があふれて来て、指先から滴り落ちる。

悠里はコンシェルジュから渡されたタオルで必死に押さえるが、一瞬でタオルが赤く染まりすぐに役に立たなくなった。
< 200 / 233 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop