恋人たちのパンドラ【完】
「だけど、みるみる壮介の目からは生気が失われていったよ。

多感な時期に三国という閉鎖された場所で沢山辛いことがあった。

もちろん、どうにか手助けしようとした。

だけど結局は自分で乗り越えなければいけないからと、遠くて見守ることしかできなかった。

私はちゃんと壮介の父親の役割を果たすことができなかったんだ」

「そ、んなことないと思います」

悠里は改めて泰三の目を見て話す。

「確かに、壮介は昔からどこか陰がありました。

だけど、心の根っこみたいなところは本当に暖かくて、私は彼にひかれずにはいられませんでした」

「お父様の気持ちなかなか壮介には届かなかったのかもしれないです。

でも今の壮介が存在するのはお父様のおかげなんです。

私は感謝せられずにはいられません」
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