恋人たちのパンドラ【完】
「そんなこと言わないで。

もう壮介の腕の中の暖かさを知ったら、離れられないよ。

だって好きで好きで止められないんだもん。

私壮介しか知らない。

ときめきも胸の高鳴りもこの身体も唇も全部全部壮介しか知らない。

どんなに頑張っても壮介が欲しくてたまらなかった」

「もういい。悠里。わかったからもういいよ」

そう優しくいい、悠里の頭を優しくなでた。

「これからは俺に守らせてくれ。

俺の隣で笑って一緒に歩いてくれ。

お前がいることで俺はやっと人として生きていけるような気がする」

「悠里―――愛してる。家族になろう」

そう囁いた壮介の言葉を悠里は一生忘れないと心に刻んだ。
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