恋人たちのパンドラ【完】
助産師さんの内診があり、いよいよ出産となると後はスムーズだった。

「まぁ、元気!大きな声がでてるわ~」

産声と助産師の言葉を聞いた時、壮介の顔が一瞬でほころんだ。

「悠里ありがとう。俺の家族を産んでくれて」

壮介は真っ赤な顔をして泣く息子を、恐る恐る抱いて目じりに皺を寄せていた。

「名前、光(ひかる)にしよう。こんなに輝かしいもの今までみたことない」

そう言って悠里に笑いかける壮介に、悠里は同じく輝くような笑顔を見せて頷いた。

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